延暦寺は、788年に最澄(さいちょう)によって比叡山(標高848m)に開かれた天台宗の寺院。比叡山には、山全体に100のお堂があり、東塔(とうどう) 、西塔(さいとう)、横川(よかわ)の3つのエリアに分かれる。延暦寺の総本堂となる根本中堂(こんぽんちゅうどう)は、東塔エリアにある。
根本中堂のなかには御本尊の薬師如来が安置されており、その前には最澄が灯して以来1200年のあいだ消えることなく守られてきた不滅の法灯(ふめつのほうとう)が灯されている。根本中堂の内部はほの暗く、瞑想するのに適した空間となっている。
804年、桓武天皇の支援を受けて唐に渡った最澄は、唐の天台山で天台宗を学び、帰国後には比叡山を拠点にして天台宗を広めていく。かねて旧来の仏教勢力を刷新したいと考えていた桓武天皇は、最澄を天皇直属の僧侶に任命した。天皇に庇護された比叡山は、都の北東(鬼門)を護る寺として栄えていく。
延暦寺は、数多くの歴史的な名僧を輩出してきた。浄土宗の法然(法然)、浄土真宗の親鸞(しんらん)、臨済宗の栄西(えいさい)、曹洞宗の道元(どうげん)、日蓮宗の日蓮(にちれん)らは、若いころに比叡山で修行をしたのちに自分の信じる道へと進んだ。
延暦寺では、現在も多くの修行僧が学んでいる。